労働相談

解雇は簡単にはできません

労働者から仕事を奪うことは、労働者にとって死活問題です。ですから、労働者保護の立場から解雇は制限を受けます。解雇には、客観的に合理的と判断される理由が必要です。手続きも、30日前の予告または解雇予告手当の支払いが必要です。事業縮小にともなう解雇は、解雇の必要性、解雇回避の経営努力、誠意をつくした協議、対象者選定の合理性などが事業主に求められます(整理解雇4要件)。会社都合の解雇の場合、解雇理由に不当性があれば、退職金の割増も当然のことです。

《法律上の根拠:労働基準法第18条~22条、男女雇用機会均等法8条、労働組合法第7条》

首切りをはねかえす10ヵ条
(1) はっきり「やめません」
(2) やっぱり「やめません」
(3) 退職強要には「無理強いはやめてください」
(4) 人権をキズつける言動には厳重抗議を
(5) 無理な出向・配転には「応じられません」
(6) 会社より自分が大変!
(7) おだてに乗らずに謙虚に否定
(8) 家族みんなが困ります
(9) 最後はじっと黙ってでも頑張りましょう
(10) 仲間と相談、そしてみえ労連にすぐ電話

 

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残業手当は必ずもらえます

労働基準法では、1日8時間を超えて働かせてはならないと定められています。時間外労働は、あくまでも臨時的・一時的なことで、常態化することは違法です。また、労働基準法36条に基づく協定(36協定)を労働基準監督署に届けないと、時間外労働をさせることはできません。
1日8時間を超えて働いた分は、時間外労働として、残業代としての割増賃金の支払いが義務づけられています。時間外手当を払わない、一方的に上限を設ける、減額するなどは、不払い残業として、厳しく禁止されています。また、労働者の労働時間管理は、厚生労働省の通達で事業主に義務づけられています。タイムカードなどの労働時間管理が行われていない場合は、自分で出退勤時間を記録するなどで、証拠を残しておきましょう。
*仕事前のミーティングや準備作業、仕事後の清掃なども労働時間に含まれます。

《法律上の根拠:労働基準法第32条・34条~37条・106条》

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有休休暇は全労働者の権利です

有給休暇は、一定条件を満たす労働者には、すべて与えられる権利で、事業主は拒否できません。事業主は、日程変更の申し出はできますが、取得させないということはできません。また、有給休暇の取得目的を制限することも認められていません。自由に使えます。
労働基準法第39条では、年次有給休暇の最低基準を定めています。有休は、6ヶ月以上勤務し出勤率が80%以上であれば、その後1年間に10日取得でき、毎年一定日数が増加し、6年半勤めれば最高20日とれます。正社員はもちろん、パートやフリーターなども一定の条件を満たせば、労働基準法が指定する日数の有給休暇がとれます。

《法律上の根拠:労働基準法第39条・89条・106条・115条・136条》

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安全で健康に働ける職場を

労災保険は、事業主が保険料を全額負担する強制加入保険です。パート、アルバイトを含め、労働者を一人でも雇用する事業主には、労災保険が適用されます。例外はありません。
労災保険には、療養・休業・障害・遺族・介護・葬祭料などの保険給付があります(事業主が加入未手続きや保険料が未納の場合でも請求できます)。労災事故は、本人が治るまで、無料で治療できます。業務上の事故には、通勤途中の負傷や疾病も対象になります。労災保険は「無過失賠償」ですから、本人に過失があるかどうかは関係ありません。また、国籍、性別、思想・信条などで差別されることもありません。さらに事業主は、労働者が労災保険で治療している間は、解雇できません。
企業による労災隠しは犯罪行為で、重い罰則があります。

《法律上の根拠:憲法25条、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、労災保険法》

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労働条件でトラブルに

労働基準法では、「労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもの」でなければならず、「労働者と使用者が対等の立場」で決定すべきとし、入社時に労働条件を明示することを義務づけています。
労働基準法は「最低基準」ですから、それ以下の条件は無効です。就業規則などに記入されていても、その部分は無効になります。また、労働基準法の定めを理由に労働条件を低下させてはなりません。賃金の引き下げや労働時間などの一方的な変更も許されません。
就業規則は、10人以上を雇用する企業には、その作成が義務づけられていて、労働基準監督署に届け出なければなりません。就業規則は、労働者がいつでも閲覧できるようにしなければなりません。

《法律上の根拠:労働基準法第15条・89条~93条、労働基準法施行規則5条》

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パートで働く仲間もこんな権利が

パートやアルバイトで働く労働者にも、労働基準法や労災保険が適用されます。有給休暇も保障されています。もちろん最低賃金以下の賃金は違法です。一定条件を満たせば、雇用保険や社会保険にも加入できます。契約期間を定めて雇用される場合でも、何度か更新を繰り返していれば、「期間満了」の理由で解雇することはできません。
厚生労働省は、正社員を募集する際は、同様の労働に従事するパート労働者を優先的に採用するように指導しています。パートもアルバイトも同じ労働者ですから、労働組合をつくれますし、自由に加入することもできます。「パートだから」と泣き寝入りせずにご相談ください。

《法律上の根拠:労働基準法、最低賃金法、労災保険法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、パートタイム労働法》

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派遣労働は条件を確認して

テレビなどのCMでも派遣労働は花盛り。派遣労働者は、ものすごい勢いで増え続けています。しかし派遣労働は、あくまでも例外的な雇用であって、直接会社で雇用することが基本です。派遣労働者も労働者としての諸権利は保障されています。

【あなたが派遣社員ならば………】

派遣元事業主には、(1)労働条件を書面で事前に示す義務、(2)契約期間の賃金を全額支払う義務、(3)派遣労働者からの苦情処理や福利厚生に取り組む義務、(4)労働保険、社会保険の諸手続をする義務、派遣労働者の個人情報を保護する義務があります。

【こんな派遣は禁止されています】

(1)厚生労働大臣の許可、届出がない事業者による派遣、(2)派遣法で決められた上限を超える長期にわたる派遣、(3)対象業務以外への派遣、(4)2重・3重の派遣、などは法律で禁止されています。
近年、就業先の企業から業務命令があるのに、「請負労働者」として働かせる違法行為(偽装請負)が増えています。あなたの働き方が派遣なのか請負なのか、きちんと確かめておきましょう。

《法律上の根拠:労働基準法、労働者派遣法、最低賃金法、労災保険法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、パートタイム労働法》

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男女差別、セクハラ・パワハラ?

日本の男女平等の遅れは、国際的にも批判されています。男女差別や性別役割分担意識をなくし、母性保護を前提として、労働基準法では、出産休暇や生理休暇が定められています。さらに、募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年などにおける男女差別を禁止する「男女雇用機会均等法」があります。パートも労働者も、一定の基準を満たせば、育児・介護休暇を取ることができますし、その期間の解雇は制限されます。
男女雇用機会均等法第11条では、「セクハラ(セクシャル・ハラスメント)により女性労働者の労働条件が不利な状況になったり、職場環境が悪化することがないよう事業主は雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と義務づけられています。企業は、セクハラに対する方針をあらかじめ設け、相談や苦情を受ける窓口を明確にし、対応しなければなりません。
パワハラ(パワー・ハラスメント)も、民法715条の「社員が会社の事業の執行にあたって他人に違法に損害を与えた場合、会社も一緒に損害賠償責任を負う」に基づいて、人権侵害という不法行為に対する企業の責任を定めています。
いじめやセクハラのある職場を放置・容認している場合は、企業も責任を問われることになります。こうした嫌がらせは、仕事上の関係であっても、決して許されることではありません。

《法律上の根拠:労働基準法3条・4条、64条~68条、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、民法第715条》

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労働組合は労働者の必須アイテム

労働基準法や最低賃金法などは、「労働者が人たるに値する生活を営む」ための賃金や労働時間、休暇などの労働条件についての最低基準を定めているに過ぎません。
労働条件をよりよく改善するには、労使が対等に交渉する労働組合が必要になります。憲法第28条は、労働組合を結成・加入する権利、団体で交渉する権利、団体で行動する権利を保障しています。労働組合法第7条では、労働組合を結成または加入したことや組合員であることを理由とする解雇や差別を「不当労働行為」として厳しく禁止しています。さらに事業主が、正当な理由なく団体交渉を拒否することも「不当労働行為」として禁じています。ストライキを理由として、損害賠償請求もできません。このように、労働者の権利は、法律でも大切に守られているのです。
労働者が、どのような組合に加入しようと、労働者の自由です。仲間と力を合わせて、働きがいのある職場をつくっていきましょう。

《法律上の根拠:憲法第27条・第28条、労働基準法第1条、労働組合法第7条》

 

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